こんにちは!トナカイノツノのてんです。
最近有難いことに、インスタでビカクシダの胞子培養の方法について連絡をいただくことが増えてきました。なので今回は、胞子撒きの方法等についてシェアしていこうと思います。
こちらで紹介する方法は、私が実際に行っている方法です。
必要な道具、使っているライトまで全て公開していますので、この記事を読んでいただければ私と同じ環境で胞子培養を行うことができるようになります。
胞子培養って難しそうなイメージがありますが、やってみると意外と簡単です。
最適な環境はそれぞれの地域や環境によって異なりますが、初めて胞子培養をされる方のお役に、すこしでも立てればと思い、まとめていきます。

ちなみに。
私が行っている胞子培養の方法は、台湾でよく行われている胞子培養の方法をベースに、論文、胞子培養の研究資料、組織培養の教科書などを参考に自己流でミックスしたものです。


必要なもの
①胞子
好きな品種の胞子を用意します。
胞子の入手方法はメルカリやヤフオク、インスタからの直接購入、自ら育てたビカクシダからの採取などがあります。
リドレイは他の品種と比べて成長が早いので、初めて胞子培養をされる方にはおすすめです。
私の環境下では、リドレイで10日〜14日ほど、他の品種で概ね2週間〜3ヶ月ほどで発芽します。
②培養容器
蓋が透明で、密閉できる容器を使用します。


胞子が光合成を効率よく行うことができるように容器の蓋はなるべく透明なものが良いです。
カビの発生を予防するためには密閉できる容器が理想ですが、カビ予防ができていれば、食品用のタッパー等でも問題なく成長しました。
私が最近使用しているのは以下にリンクを記載しているものです。
屋内管理でのみ使用しているので、屋外管理される方は密閉容器の方がカビが発生する可能性が少なくなります。
↓100均などで売られている、ザル付きタッパーもおすすめです。


③培地
良い培地の条件は、微細(小さな粒子)で、保水性がよく、栄養素が含まれていて、phが弱酸性のものです。私は主にジフィーセブンを使用しています。


100均の培地を使用してオリジナル培地の作成も試みましたが、ジフィーセブンの方が成績が良かったです。
最近はピートバンに、もみがらくん炭や珪酸塩白土、鹿沼土、バーミキュライト、元肥等を配合して、オリジナル培地を作ったりもしていますが、初めて胞子培養を行う場合は、ジフィーセブン単体の方が成功率が高いのでおすすめです。
そのほかには、水苔やバーミキュライト単体での培養も可能のようですが、水苔やバーミキュライトは栄養分が少ないため、追加で肥料の散布等を行うことで成功率が上がるようです。水苔やバーミキュライトでの培養はやったことはないですが参考までに。
④霧吹き
胞子を培地に植え付けたあとに、水を散布するために使用します。
殺菌剤を使用する場合は殺菌剤用の霧吹きも用意します。
私が愛用しているスプレーは下記のものです。噴射粒がすごく細かいので、前葉体の水やりにも重宝しています。
⑤スプーン
培地を移したり、ならしたりする際に使用します。
⑥茶こし(なくても可)
胞子は、成熟すると胞子嚢から胞子を放出します。胞子嚢と胞子を分けるために使用します。
胞子嚢を一緒に撒いても発芽しますが、カビの原因になりやすいので、基本的にはふるってから撒くようにしています。
⑦殺菌に使う塩素系殺菌剤(なくても可)
0.05%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を作成し、
・手指の消毒
・道具の消毒
・培地に散布してカビ予防
に使用しています。
私は市販のミルトンを使用しており、ミルトンの濃度は1%のためこれを20倍に希釈します。(25mlのミルトンに475mlの水を加えます)
※培地に散布する際の注意点・・・次亜塩素酸ナトリウム溶液のphは弱アルカリ性です。ビカクシダの成長に最適なphは弱酸性なので培地に散布する場合は、入れすぎには注意が必要です。私の場合は遠めから1〜2プッシュしています。
手順
①容器や道具を滅菌する
使用する容器や道具を、石鹸や洗剤を使用せずに水洗いしたあと、容器や道具に殺菌剤を3プッシュ程度吹きかけ、キッチンペーパーなどで拭き取ります。
耐熱の容器や道具を使用する場合は、沸騰したお湯の中に容器を数分つけ、熱湯消毒したあとに殺菌剤を散布します。


②培地の準備
ジフィーセブンなどの圧縮された培地を使用する場合についての説明です。
1.蓋のある耐熱容器(私はダイソーのポリプロピレンで出来た容器を使用しています。)にジフィーセブンを入れます。
2.商品の規定量の熱湯を注ぎ蓋をします。培地を戻す作業と同時に、熱湯による培地の殺菌作業も兼ねています。蓋をしたまま常温になるまで放置します。胞子が浸水している状態だと腐食してしまう可能性があるので、培地の表面まで水浸しにならないように注意します。
3.常温に戻ったら培養容器に培地を移します。培地の厚さの目安は、2〜3センチ程度です。ジフィーを使用する場合は、包んでいる紙を取り除いてから使用しています。
4.培地の表面を平らにならします。(ならしておくとスペーシング等の作業がしやすくなります。)


↑こちらは、ジフィーに1割程度バーミキュライトを混ぜ込んだ培地を使用していますが、容器に培地をこんな感じで入れてます。
③胞子を茶こしで濾す
胞子は成熟すると、胞子嚢から排出されることにより外に出てきます。茶こしを使用して、胞子の殻(胞子嚢)を濾し取り、胞子のみを播種します。胞子嚢はカビの原因になりやすいので、取り除くことでカビの発生を抑えることができます。


胞子嚢を一緒に撒いても発芽はするのでこの作業は省略しても大丈夫です。
④胞子を撒く
なるべく均一に胞子を撒きます。胞子を撒く量については胞子の状態によっても変わってくるので、一概には言えないのですが、胞子が発芽後前葉体が密集した状態になると、それぞれが栄養素・光・水・空間を奪い合うことで、成長が遅くなることが考えられます。経験上すこし少なめに撒いたほうが、成長が早いような気がします。
胞子の量でによってどのくらい成長に差が出るのかという比較実験を始めました。
細かい成長記録はインスタでpostしています。
⑤水をスプレー
胞子を撒き終わったら、スプレーで水を散布します。
殺菌剤を使用する場合は、蓋を締める直前に、1〜2プッシュほどしておきます。
⑥蓋をして密閉する
播種から、2週間〜3ヶ月ほどで小さな緑色の前葉体が生えてきます。その間は、基本的に蓋は開けずに密閉したままです。


栽培環境
胞子が入っている容器を置く場所は、明るく、温度が一定(15度以上)で、換気がされている場所がよいです。
自然光で育成する場合は、直射日光が当たる場所は避けたほうが良いです。容器内の温度が高温になりすぎる可能性があるためです。調整は必要にはなりますが拡散光または遮光下で一日照らされている場所が理想です。直射日光の当たらない明るい日陰が管理しやすいです。


私が使用しているLEDライト等の設備


植物育成LEDライトを使用する場合は、基本どのライトでも育ちますが、フルスペクトルのライトの方が成長が早いように感じています。
発芽率が悪い種類の管理を赤色光のみに変えると急に発芽したりもするので、今後も試行錯誤していく予定です。
現時点で私が使用しているライト等は下記のものです。
↑安価なので初めての胞子培養におすすめです。成長速度はまずまず。アオコが発生しにくいので成功率を上げたい方や、初めて胞子培養を行う方におすすめです。紫の光なので、リビング等で使用する際は注意が必要。
↑こちらも初めての胞子培養におすすめです。成長速度もまずまず。電球色なので使いやすいです。LED単体で使用していますが問題なく育っています。
↑コスパ○。とても明るいです。サムスン製のLEDライトです。40~50センチほど離して使うとよいです。近すぎるとアオコが発生しやすくなります。がっつり胞子培養をやりたい場合はこちらのライトがおすすめ。
↑上記の他のライトと比べても一番明るいです。ファンがついていて排熱性能も〇。円状のライトなので使う場所を選びますが、成長速度は一番早いです。
CF GROWライトは、似た見た目が商品がいくつかあります。同じ見た目のライトも試してみましたが、COBチップを使用している、こちらのライトのほうが成長が早かったです。型番等お間違えの無いようご注意ください。
↑ライトの排熱のため、取付けています。
↑毎日ライトを点灯・消灯するのは大変なので、こちらを使用して自動で管理しています。スマホから操作することもできるのでとても便利です。
↑点灯・消灯の自動化にこちらも使用しています。
まとめ
育成環境等の写真はインスタでも公開中です。
前葉体が出てきたらやることや、胞子体が出てきたらやることは別の記事で紹介しています。




胞子培養苗の販売を始めました。
少しずつですが、出品していきますので、よかったら覗いてみてください。
今後も、胞子培養についての情報をシェアしていきます。
それでは、また。
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